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引き上げ品等、放り込み倉庫
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WA3、ジェトヴァニ。相変わらず恥ずかしい内容。








「リーダー、どうしたんだ?」

ギャロウズの不思議そうな呼びかけに、ヴァージニアは俯いていた面を僅かに持ち上げた。
「………あの……、あの、ね」
「ん? そう言えば、朝、いなかったよな。
 どっか行ってた?」
「あ、うん。買い出しに。ギャロウズもジェットも寝てたから。
 でも、一応、書置きはしといたよ」
「ああ、アイツ、今日見かけてないけど、どこいんだ?」
きょろきょろと見回すが(最近のジェットは、ヴァージニアの周りをちょろちょろしていることが多い)、見当たらない。ヴァージニアがしゅんと肩を落とすと、いつものこの娘らしくない落ち込んだ姿に、ギャロウズも驚く。

「おい、リーダー?」

「あの、ね……
 買い出しから帰って来てから、ジェットが、ね。
 口聞いてくれないの」

「あん?」

「わたし、何か気に障ること、しちゃったのかな?
 もしかして、嫌われちゃった、とか……」

普段から天真爛漫を振り撒いているヴァージニアとは思えないほど、しおらしい。
尻すぼみに小さくなる声音に深刻さを感じて、(とは言え、要するに『彼女にとって』の範疇だが)存外ひとの良いギャロウズも一緒になって回顧を始める。

しかし実際は、その必要もないほど、ジェットはヴァージニアに参っているのだし。
彼女の発言や行動が直接関わっているとは思えない。

「………あれ? 買い出しはヴァージニア一人で?」
「え? ううん、クライヴと」

――― ははぁ

ねえ、どう思う?
見上げてくるヴァージニアの瞳が切に訴えている。
ギャロウズは、大袈裟に両手を振って、わざと声を荒げて言った。

「そうじゃねえよ、リーダー。
 ジェットのヤツは、リーダーがクライヴと二人っきりで出かけたのが面白くねえのさ。
 要するに、ヤキモチ妬いてるだけなんだよ。
 ―― なあ、おい! そうだろ?」

「何勝手なこと言っ……!」

二人からそう離れてもいない茂みから飛び上がって怒鳴り声を上げかけたジェットは、しまった、と己を呪ったが時すでに遅し。
ニヤニヤと笑みを浮かべるギャロウズと、丸くした目で自分を見ているヴァージニアの視線を受けて、しばらく動けずにいたのだが、そうしている内にギャロウズが、じゃあ後は二人で、などと、いかにも冗談めかした台詞を言い置いて、ふらりとどこかへ消えた。

引っ込みもつかなくなって、居心地悪くも立ちすくんでいると、ヴァージニアがそろりと近付いてくる。


「……わたし、また、ジェットを怒らせちゃったかと思ったの。
 無神経なこといって、ジェットを傷つけちゃったのかなって、
 そればっかり考えて、わたしって、なんでこう、
 大切なことをすぐ忘れちゃうんだろう、って」

「……………………」

「ねえ、ジェット。
 わたし――わたしまだ、
 あなたに、嫌われて……、ない?」

「そんな、んじゃ、……ない」

そっぽを向いてぼそりと囁く声は擦れていた。

ヴァージニアの様子を観察するのを躊躇ったのは、怒っているだろうと思ったからだったが、
あまりに無反応なので不審に思って彼女を見ると、

「良かっ、た」
小さく小さく、胸の奥から搾り出すほどに感極まった声で呟いていた。

それから。

ぎゅっと閉じた瞳から涙が落ちてもおかしくないような表情で、両手を組み、
ヴァージニアは、何度か、良かった、良かったと繰り返し、呟いた。


「あなたに嫌われてるんじゃなくて、良かった……!」


泣きそうな顔で微笑みを浮かべるヴァージニアに、胸がちくりと痛んだ。



「…………悪かった……」



今度こそ本当に。

花がほころぶような微笑を浮かべたヴァージニアに、ジェットは顔を赤くした。

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