引き上げ品等、放り込み倉庫
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世界の双子。ゆるゆる。
今にもころんと落ちてしまいそうなほどに見張った微睡んだ紅い瞳を、それはそれはキラキラと輝かせたゼファー。
「ああ……」
小さな子供の姿の口から漏れる声のトーンは普段より高く、うっとりと響いている。
「何て神々しい姿だろう……!」
ふっくらと柔らかな頬を薔薇色に染めた。
「ああ、その麗しい姿、優雅な微笑み。
まるで貴婦人の気品を備え、淑女の佇まいを見せる貴女。
その何もかもが私を魅了して止まない。
私はすっかり貴女の虜になってしまいました」
丸みを帯びた小さな指先を必死に組んで、眼差しを熱心に注ぐ。
隣で見ていたルシエドが、微苦笑を浮かべるのにも構わず、ゼファーは熱っぽく訴えた。
「どうぞ美しい方。
美しい貴女の麗しい名をお聞かせください――」
ルシエドがそろりと手を伸ばした。
優雅な貴婦人の白い『ドレスの裾』 に、スプーンを差し込んで、
「この貴婦人は、『チョコパフェ』 と仰るそうだ」
「おお、何と御名の甘美な響きか!」
「ほれ、あんまり焦らしてないで、戴け。
ご婦人に恥をかかせる気か?」
それこそ大事のように促すと、ゼファーは期待に満ち満ちた瞳を輝かせて、元気良くうんと頷いた。
そうして、慎重にクリームを掬い上げるゼファーの緊張した面持ちなぞを眺めながら、
『まぁ、こんなのもたまにはアリか………』
幸せそうにパフェを頬張る兄を膝に乗っけたルシエドは、ぼんやりと思うのだった。
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