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引き上げ品等、放り込み倉庫
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もう本当誰も喜ばないよ、否! 俺! 全俺が大歓喜! みたいな痛いノリ全開。つうか、最終回から一週間も経ってますよー、と言うそんなレバレッジS2最終回の後にこんなのなかったかなーと言う。


 







キスの後、ソフィーに頬を張られた時はザマミロと思った。

仲間たちと久しぶりに見る彼女が離れ、一人取り残されたネイサンはなぜか満足気な笑みを浮かべていた。その意味は分からなかった。
ただ、誇らしげに自らを犯罪者だと名乗ったあの笑顔が、息子のことを語っていたあの頃の彼を思い起こさせた。


「もう少し利口だと思ってたんだがな」
揺れる救急車の中で、点滴と呼吸器をつけたネイサンが息を漏らすように吹き出した。腹を撃たれた割に状態は安定している。悪運の強いことだ。
怪訝に眉をひそめるスターリングに対して、彼は軽く咳き込んだ後で、絞るような声音で呟いた。

「テレビの悪人が良く言うような台詞だ」

お前だって似たようなことを言っていたさ。あれは何ヶ月前の話だ?
保険調査員だった頃のネイサン・フォードは、少なくとも善人ではなかった。


「愚かな選択で身を滅ぼしたもんだ」
スターリングは吐き出し、渋面を浮かべる。

全く理解できない。お前一人なら助けてやると、最後のチャンスを与えたのは数時間前。
スターリングの性格も思考も良く知っているネイサンならば、あれか脅しでもなければ交渉の手段でもないことも、さらに選択の余地すらないことも分かっていたはずだ。

しかし、彼は呼吸器の向こうでまた咳き込む。

「お前の鼻は空かせられたわけだ」

可笑しそうにくつくつと肩を揺らすネイサンは、まるで今の状況を楽しんでいるようだ。いや、仲間を乗せたヘリが飛び立った瞬間から、何もかもを吹っ切ったような表情を浮かべていた気がする。

「お前に関わるといつもこうだ」
「そのお陰で出世できたろう」

お前は徐々に落ちぶれているがな、とは言わずにおいた。

結局はこうなる。

IYSではライバルだったネイサンが詐欺師として現れる度、スターリングは手を焼かされた。
だが最終的には、詰めの甘い彼を利用してのし上がる。己を利己的だと評価しているスターリングには、かつての友人であろうと利用できなければ価値がない。仕事だって何だって。

ネイサンの抱える『チーム』だってそうだ。駒として上手く機能しなければ捨てればいい。
けれど彼は、そのチームを守るために自分を犠牲にしたのだ。

ふと、彼の仲間の顔が浮かぶ。
そう言えば、再会と同時に殴りかかってきたエリオット・スペンサーをホテルの監視カメラで見た。

となると、当然指揮するネイサンも、いた?

「エレベーターのあれは……お前か」

再びネイサンが吹き出した。

「あれは、今まででのどの作戦よりも大変だった」

そしてまた、一人で笑っては咳きこんでしまう。
一階ごとにエレベーターのボタンを押しに階段を駆け上がるのだ。それも13階分。確かにそれは、頭脳担当のネイサンには大仕事だったことだろう。

よほど可笑しいのか、彼の呼吸を妨げる笑いがしばらく続く間、スターリングは不機嫌に鼻を鳴らす。
こんなことなら、モルヒネを打たせなければ良かったと胸中で毒づくスターリングに、ネイサンは怪しい呼吸でさらに、

「あの時、お前の顔が見れなかったことが一番心残りだ」


誰かこいつを黙らせてくれ。

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